セブン&アイ・ホールディングスに対する買収提案は、ビジネス界における大きな話題となっています。この提案がもたらすであろう変化は、消費者、投資家、そして企業経営に多大な影響を及ぼす可能性がありますので、解説と考察していきます。
(参考、出典/セブン&アイHDのHP:リンクはこちら)
目次
〈買収提案したカナダ企業とは?〉
買収を提案したのは、アリマンタシォン・クシュタール社である。この企業は北米で約9000店舗を展開し、全世界で1万4000店舗以上を有するコンビニエンスストアの大手である。過去にも積極的な買収を行っており、その経営戦略は業界内で注目されている。
なんか発音しにくい社名ですが、フランス語のようです。アリマンタシォン=「食品」、クシュタール=「夜更かし」なので、夜更かしするときのお供 的な社名なんでしょうね。おしゃれです。正にコンビニエンスなネーミングです。
〈セブン&アイHDのコンビニ事業とスーパーマーケット事業の概要〉
セブン&アイといえば、代表的な事業はコンビニ事業であるセブンイレブン、スーパーマーケット事業であるイトーヨーカドーでしょう。これらについての収支はどうなっているんでしょうか。同社IR資料から抜粋したのが下記です。
セブンイレブンは好調のようですが、イトーヨーカドー事業は苦戦しているようです。肌感覚としても、セブンイレブンは儲かっていそうで、イトーヨーカドーはそこそこかなと感じていましたがその通りでした。
昔はコンビニって値段が高い イメージでしたが最近は値段も気になりませんし、食料品以外も充実しており、「スーパーマーケットの日常に便利な部門だけを抽出した」使い勝手が良い店 に進化しており、時代の変化を感じます。
逆に、フライパンとか包丁とか、そういった頻繁に買い換えるものではないものはやっぱりイトーヨーカドーで購入するイメージです。
今回カナダ企業が目をつけたのは明らかにコンビニ事業だと思います。セブン&アイのコンビニ事業は、国内外で強固なブランドを築いており、日本国内だけで21,416店舗を展開していますね。
〈もし買収を受け入れた場合、我々の生活に影響は?〉
買収が実現すれば、セブン&アイの経営資源がさらに充実し、消費者にとってはより多様な商品やサービスが提供される可能性があります。しかし、市場の独占による価格の上昇や、国内企業の経営方針が外資に左右される懸念も指摘されているようです。
無いとは思いますが管理人が一番心配しているのは、買収後コンビニ事業だけ強化し、採算が厳しいスーパーマーケット事業は縮小もしくは撤退 となることです。それだけは絶対に避けて欲しいです(イトーヨーカドーのファンです)。
〈買収を受け入れる可能性はあるのか〉
セブン&アイは、買収提案に対して社外取締役で構成される特別委員会を設立し、提案の受け入れ可否を検討中です。現時点では、買収を受け入れるかどうかの決定は公表されていないようですが、火のない所に煙は立たぬといいますし、少なくとも前向きに検討はされているんじゃないでしょうか(受け入れに当たっての条件交渉とか・・・)。
もしハナから受け入れる気が無ければ、形だけ検討し早期に謝絶してもいいと思いますので(個人的には残念ながら)検討は進んでいるものと考えます。
〈海外ではどう報じられているか〉
日本ではそこそこ大きく報じられていますが、海外メディアではもこの買収提案が日本企業に対する外資による最大規模の買収となる可能性があると報じられているようです。また、円安が背景にあるとの分析もなされています。そういう意味では、セブン&アイに限らず全ての日本企業が買収の危機にさらされているといっていい状況のようです。
やっぱり適度な円高が望ましいですよね(もしくは株価を上げていくことによる買収のハードルをあげるか・・・)
〈管理人個人の見解 (政策持株について)〉
現在、企業間で相互に株式を持ち合う所謂「政策持株」の削減が進められています。企業間で株式の大部分を持ち合うことで、少数株主の意見を反映させにくくなるというデメリットがあることから、東証が主導して進めているものです。勿論東証が言うことは尤もなのですが、敵対的買収を防ぎやすくなるというメリットが失われつつあります。ちなみにセブン&アイHDの大株主は下記の通りです。
今回の買収提案が敵対的かどうかは管理人には分かっていませんが、企業間の適度な政策持株は継続してもいいと思っています(一部の企業は「○○年までに政策持株をゼロにします」をIR資料で謳うようになった企業もありますよね)。
〈まとめ〉
この5兆円規模とされる買収提案は、セブン&アイ・ホールディングスにとって、そして日本の小売業界にとって、重要な転換点となる可能性があり、今後の動向に世界中から注目が集まっています。この買収提案がどのように進展するかは、多くのステークホルダーにとって重要な関心事であり、セブン&アイ・ホールディングスの次の一手が、業界の未来を左右することになるでしょう。経過を見守っていきたいと思います。
最後までご覧いただきありがとうございました。ではまた。