各種経済指標の中でも最重要とされる米国雇用統計について、日本時間9月6日(金)発表となりますので、簡単な解説等を記事にします。
(参考:財務省作成資料/リンクはこちら

〈米国雇用統計とは〉

 米国雇用統計は、世界の投資家や政策立案者が最も注目する経済指標の一つです。この統計は、米国の労働市場の状況を示す重要なデータを提供し、経済の健全性を測るための基準となります。では、この統計が何を含んでいるのか、そしてそれがどのように経済に影響を与えるのかを詳しく見ていきましょう。

〈ADP雇用統計との違い〉

 ADP雇用統計と雇用統計の主な違いは、集計されるデータの範囲と方法にあります。ADP雇用統計はADP社の顧客データに基づいており、雇用統計はより広範な調査に基づいています。また、ADP雇用統計はあくまで予測値であり、実際の雇用統計とは異なる結果となることがあります。そのため、ADP雇用統計は参考指標としては有用ですが、雇用統計の発表を待つことが重要です。

 つまり、参考指標としてはADP雇用統計も有効だけど、実際にはその後発表される正式な雇用統計が最重要ということですね!!

〈雇用統計が含む主要な指標〉

米国雇用統計には、以下のような主要な指標が含まれています。

  • 非農業部門雇用者数:これは、農業を除くすべての産業における雇用者数の変化を示します。増加は経済活動の拡大を、減少は縮小を示唆します。
  • 失業率:労働力人口に占める失業者の割合です。低下は労働市場の強さを、上昇は弱さを示します。
  • 平均時給:労働者の賃金水準を示し、時給の上昇は消費者の購買力増加と関連しています。
    この中で重要なのが「非農業部門雇用者数」と「失業率」です。この数値次第でFRBの金融政策が大きく変わり、ひいては株価や為替にも大きな影響があります。

〈統計の発表が経済に与える影響〉

雇用統計の発表は、以下のような経済的影響を及ぼす可能性があります。

  • 金融市場:雇用統計は、株価や債券、為替レートに直接的な影響を与えます。特に、非農業部門雇用者数の変化は、市場のセンチメントに大きく影響します。
  • 金融政策:FRBは、雇用統計を利上げや利下げの決定において重要な指標として使用します。雇用状況の改善は、金融引き締めの可能性を高め、その逆もまた然りです。
  • 消費者行動:賃金の上昇は、消費者の支出意欲を刺激し、経済成長を促進します。失業率の低下も同様に、消費者の信頼感を高めます。

〈今回のアナリストによる予想数値〉

 2024年9月6日に発表される雇用統計に対するアナリストの予想は、非農業部門雇用者数が前月比で約16万5000人の増加を見込んでいます。失業率は前月と変わらず3.6%を維持すると予想されています。

〈上振れ、下振れの影響〉

上振れした場合の影響

 もし雇用統計がアナリストの予想を上回る「上振れ」を示した場合、これは米国経済の強さを示すサインとなります。
 市場はこのような結果を好感し、米ドルの価値が上昇する可能性があります。また、FRBがインフレ抑制のために利上げを加速する可能性が高まります。株式市場においては、企業収益への楽観的な見方が強まる一方で、金利上昇によるコスト増加への懸念も生じるでしょう。ただし、こちらになる可能性は高くないと管理人は考えています。

下振れした場合の影響

 一方で、予想を下回る「下振れ」が発生した場合、市場は米国経済の減速を懸念し、米ドルの価値が下落する可能性があります。
 FRBはすでに9月の利下げを示唆していますが、雇用統計が想像以上に弱かった場合は25bpではなく一気に50bp下げてくることも考えられます。株式市場では、短期的には金融緩和策の期待から株価が上昇することもありますが、長期的には経済の先行き不安から株価が下落する可能性もあります。

〈まとめ〉

 結論として、米国雇用統計は、投資家、政策立案者、そして一般の消費者にとって、経済の健全性を測る重要な指標です。
 そのため、毎月の発表は市場に大きな注目を集め、経済活動に多大な影響を与えています。毎月月初金曜日は投資家達はザワザワしてますよね・・・・。
 今後もこの統計に注目し、その結果を経済分析と投資戦略に活かしていくことが重要です。まぁ、管理人を含むインデックス長期投資家は基本的にバイ&ホールドですから、売り買いはしないと思います。

最後までご覧いただきありがとうございました。ではまた。

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