日本時間9月13日夜間に欧州中央銀行(ECB)の利下げ発表が正式に行われましたので、それについて考察したいと思います。
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〈欧州中央銀行(ECB)の最新の政策金利の動向とその背景〉
欧州中央銀行(ECB)は、最近の理事会において政策金利を0.25ポイント引き下げることを決定しました。これにより、中銀預金金利は3.75%から3.50%に、主要リファイナンスオペレーションの金利は4.25%から4.00%に、そしてマージナルレンディング施設の金利は4.50%から4.25%にそれぞれ設定されました。
この決定は、インフレ率の低下と経済成長の継続を支援するためのものであり、ECBは「インフレ見通しに基づき、金融政策の制限をさらに緩和することが適切だ」と述べています。また、ラガルドECB総裁は「2%の物価目標を達成するため、政策金利の引き締めを続ける」とも発言しています。
〈ECBの今後の金融政策はどうなりそう?〉
今後のECBの金融政策に関しては、市場は10月の連続利下げの確率を約40%織り込んでいたものの、ラガルド総裁の発言により、その確率は20%~30%程度にまで低下しました。ECBは今後もデータに依存し、会合ごとにアプローチしていく方針を示しています。
連続利下げは行わず、まず今回の利下げでの影響を見極めるスタンスが可能性としては強まったようです。
〈ECBの特徴〉
中央銀行は、それぞれの国や地域の経済政策において重要な役割を果たしています。欧州中央銀行(ECB)も例外ではありませんが、他の中央銀行と比較するといくつかの独特な特徴があります。
まず、ECBは単一の国ではなく、ユーロ圏という複数の国家をカバーする経済圏の金融政策を担当しています。これにより、ECBは加盟国の経済状況の多様性を考慮しながら、一貫した金融政策を実施する必要があります。
次に、ECBの政策決定機関であるECB政策理事会は、総裁、副総裁、4名の理事、そしてユーロ圏各国の中央銀行総裁によって構成されています。この理事会は、6週間に1度の会合で金融政策に関する意思決定を行い、輪番制を採用しています。これにより、大国と小国のバランスを保ちながら、ユーロ圏全体の利益に沿った決定が可能になります。
一方、米国の連邦準備制度(FRB)は、12の地区連銀が存在し、それぞれが地域の金融政策を担当しています。FRBは、連邦公開市場委員会(FOMC)によって金融政策が決定され、FRB議長の発言は世界的な影響力を持っています。
つまり、ECBはユーロ圏という多国籍の経済圏を代表し、加盟国の多様な経済状況を考慮した金融政策を実施するという点で他の中央銀行と異なります。また、ECBの意思決定プロセスは、加盟国間のバランスを考慮しながら行われるため、他の中央銀行よりも複雑な場合があります。
地域性とか、国民性とかが国によって結構違うでしょうから、それを代表して方針を決めていくのは非常に舵取り難しそうですよね・・・
〈EU圏の経済成長見通しは?〉
EUの経済成長率に関しては、欧州委員会は2024年の実質GDP成長率をEU27カ国で1.0%、ユーロ圏20カ国では0.8%と予測しています。これは、インフレ率の低下が継続していることからも、緩やかな経済成長を見通していることを示しています。
一方で、国際通貨基金(IMF)によると、世界経済の成長率は2024年に3.2%、2025年に3.3%になると見込まれており、サービス価格の上昇がディスインフレの進展を妨げており、金融政策の正常化を複雑にしているとされています。
ユーロ圏は世界平均にくらべ、経済成長がかなり鈍化している印象です。そのため緩和に転じるのはやむを得ないものと思います。
〈他の中央銀行のスタンス〉
他の主要中央銀行と比較した場合、ECBの政策は比較的慎重なスタンスを取っていると言えます。米連邦準備制度(FRB)は、これまでインフレ抑制のために積極的な利上げを行ってきましたが、来週予定されているFOMCでは0.25%もしくは0.5%の利下げを行うと言われています。ECBはFRBに先駆けて経済成長を優先し、利下げに踏み切った形です。
一方、日本はそれに完全に逆行している形となります。先日の金融政策決定会合で0.25%への利上げ発表し、追加で年末or年始に再度利上げを行うものとされています。
管理人個人的には、日本だけ世界と逆行した金融政策は混乱のもとだと思いますので、日銀は利下げは行えないにしてもステイで様子をみるべきではないかと考えます。
最後までご覧いただきありがとうございました。ではまた。