昨日の日経新聞電子版および今朝の紙面で報じられた14年ぶりの ソニー銀行の住宅ローン金利引き上げ について考察します。
〈今回の引き上げ幅は?〉
報道によれば8月以降分から+0.2%の引上げとのことになります。仮に0.3%で借りていた方であれば0.5%になりますね。まずまず大きなインパクトかも知れません。単純計算ですが借り入れ5,000万円の時点であれば年間の利払いが概ね10万円程度膨らむ計算になります。
ただし、多くの場合は「変動金利」+「元利均等返済」で借りている方が多いと思いますので、いわゆる5年ルールが適用されているはずです。その場合は毎月の返済額が変わるのは5年ごとです。その間は、毎月の返済額は変更がなく、毎回の支払いのうちの元金部分と利息部分の割合で調整されます(=金利が上がった分、元金の減少スピードが落ちる。次の5年で支払額が膨らむ可能性がある)ということは理解しておくが大切です。よく言われるすぐに返済額が上がる=「家計圧迫!!」は直接的には的外れです。
〈ソニー銀行のローン残高は?〉
報道によれば、同社のローン残高は3兆4,0000億円前後とのことですかなりの規模ですね。メガバンクが概ね10兆円前後とされていますので、割いているであろう人的リソース量を考えるとネット系列銀行の効率よさがうかがえます。
この3兆4,000億円前後がほぼすべて変動金利で貸し出しているはずですので、この0.2%引上は収益上大きなインパクトがありそうですね。
〈住宅ローンの銀行収益って・・・・〉
すでに借りた方はご存じ、これから借りる方も説明は聞いているかもしれませんが、初期費用として組み込まれている「融資手数料」がありましたよね。銀行や借り入れないようによって若干差があるかも知れませんが概ね貸出額×1.5&~2.0%(別途消費税。=借り入れ5,000万円であれば2.2%であれば1,100,000円)が掛かっていたと思います。これは、仮に借りて1ヶ月で繰り上げ返済しても1円も返ってこない性質のものです。
銀行の住宅ローンは「ずっと支払っていく利息」+「最初にかかる融資手数料」で構成されていることが分かります。
〈変動金利引き上げの流れは加速する〉
今後日銀の利上げ観測もあいまって、各金融機関の変動金利引き上げの流れは加速するでしょう。幅や時期は各金融期間によるでしょうが、特定の銀行だけ逆行するとか、そういったことは行われないと管理人は見ています。
〈エンドユーザーはどうすべきか〉
ちまたでは、「変動金利で借りて、金利があがったら借り換えすればいいよね!!」という意見も目にしますが、これは誤りです。
①同じ銀行内で変動金利⇒固定金利に切り替える場合
手数料は掛からない銀行が多いはずですが、すでに固定金利は大きく上昇しています。ここ
から固定金利に切り替えるメリットが本当にあるかどうか、今一度ご再考ください(多分メ
リット無いです)
②他行の変動金利に切り替える場合
各金融機関のHPで借り換えシミュレーションが取れますので、ご自身の条件に当てはめてやってみてください。残高5,000万円、残存期間30年、金利を0.5%⇒0.3%に借り換えした場合、メリットが概ね25万円くらいです別途司法書士報酬は先生とご相談ください。借り換え先の融資手数料が無ければ+100万円くらいメリットがでますが、免除されることはないのでこれは仕方ないです。
どうでしょうか。昨今の異様な低金利下でローンを借りた方って、仮に0.2%程度金利が上がったから「より!借り換えよう!」って思ってもあんまりメリット無いんですよね。しかも他行に借り換えても、借り換え先の変動金利も遅かれ早かれ上がりますから、結局融資手数料分無駄にすることになりそうです。
〈結論〉
多少の金利上昇であれば、静観が正解。支払い利息は、残高×利率 で決まりますので、無理の範囲での繰り上げ返済で残高を落とすのがオススメです。ローンの支払いだけにとらわれて日々の生活が楽しめなくなったら本末転倒です。
ローンのことは上記を参考にして考える時間は最小限にし、素敵なマイホームライフを楽しんでくださいね。
最後までご覧いただきありがとうございました。ではまた。