日本の金融市場は、石破茂氏が自由民主党の新総裁に選出されたことにより、大きな動揺を見せました。これは「石破ショック」と呼ばれ、石破氏が提唱する金融所得課税強化の政策が市場に与える影響が懸念されています。
本記事では、金融所得課税の現状と見直しの内容、メリットとデメリット、予想される影響、そして他国の導入事例について詳しく解説します。
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目次
〈石破ショックの状況〉
総裁選の途中までは積極財政派かつ利上げに慎重なスタンスと思われていた高市氏が優勢であったことから、市場では円安株高が進行しドル円は146円台、日経平均は約900円高で15:00の取引終了を迎えました。
その後決選投票の結果、石破氏が当選となり一気に円高142円台、日経平均先物は2,500円安程度まで売り込まれました。石破氏が緊縮財政派かつ早期利上げに積極的であったと伝わっていたためです。このまま行くと週明けはブラックマンデー状態になります・・・。みなさん気を強く持ち、一喜一憂しないようにしましょうね。
〈金融所得とは?〉
金融所得とは、株式や債券、預金などの金融商品から得られる利益のことを指します。これには配当金や利子、資産の売却から得られる利益(キャピタルゲイン)が含まれます。
つまり、金融商品からえられた利益は基本的に全て金融所得に含まれることとなります。
〈金融所得課税の概要〉
日本では、金融所得に対して一律20.315%(所得税15%、住民税5%、復興特別所得税0.315%)の税率が適用されています。これは、他の所得とは分離して課税されるため、所得の規模に関わらず同じ税率が適用される点が特徴です。
2011年末までは株式等の利益に対する税率は軽減税率として10%でした。リーマンショックなどの世界的金融恐慌の状況下でしたので、株式市場が冷えていたことも背景にあったと思われます。今となって思えば羨ましい限りですね。
総裁選前の話では石破さんはこれを30%程度まで引き上げる構想を持っていたようです。彼の支持基盤は地方の農家ですので、おそらく株式投資などをしている方が少なく、再配分に繋がるとなれば支持者受けもいいのでしょう。
〈含み益にも課税される?〉
現状では含み益、つまり実現されていない利益には原則として課税されません。課税は実際に資産が売却され、利益が確定した時点で行われます。
ただ、今後議論が仮に前向きに進んでしまったとすると含み益に課税という恐怖がありえるのかもしれません。これについてはかなり厳しいと思いますが、消費税率、法人税率と金融所得税率引き上げを語っていた石破氏ですので、あり得ないことではないかもしれません。
(なお、総裁選後のインタビューでは一転して「手をつけることは考えていない」と発言していましたが、岸田前総理も総裁戦時は「増税しない」と言っていたのにもかかわらず実際に総理になったら急に検討し始めたこともありますので、実際にはどうなるか分かりませんね・・・)
〈考えられるメリット〉
金融所得課税の強化には、税制の公平性を高めるというメリットがあります。特に高額所得者に対して適正な税負担を求めることで、所得格差の是正に寄与する可能性があります。
ちゃんと再配分されれば文句ありませんが、結局低所得者のもとに回る前に中抜きされてしまうのが怖いです。
〈考えられるデメリット〉
一方で、税率の引き上げは投資意欲の減退を招く恐れがあり、特に中間層の投資活動に悪影響を及ぼす可能性が指摘されています。また、資本の海外流出を促すリスクもあります。
中間層はそもそも、所得税と住民税を天引きされた給与から、日々の生活で消費税などを負担し、その余ったお金で投資しているワケですから、その利益に対して更に課税するのはやり過ぎでは無いかと管理人は考えています。
「貯蓄から投資へ」のスローガンのもの、投資を活発にしたいのであれば金融所得税率はむしろ下げて欲しいものです。
〈予想される影響〉
金融所得課税の強化は、やはり株式市場における投資家の行動に影響を与えると予想されます。短期的には市場のボラティリティが増加する可能性があり、長期的には投資環境の悪化が懸念されます。
〈他国の導入事例〉
他国では、金融所得に対する課税方法は多様です。例えば、アメリカでは長期キャピタルゲインに対しては最大20%の税率が適用される一方で、短期キャピタルゲインには所得税率が適用されます。また、イギリスでは一定額までのキャピタルゲインは非課税となっています。
石破新総裁の下での金融所得課税強化の動向は、今後の日本経済にとって重要な焦点となるでしょう。市場参加者、政策立案者、そして一般国民にとっても、その影響を注視する必要があります。
財政規律を最優先し、なんでもかんでも増税ありきではなく「景気を高揚させるセオリーは減税と財政出動」という市場原則にそって政策を立案して欲しいものです。
最後までご覧いただきありがとうございました。ではまた。