2024年度の制度改正で配偶者を亡くした人々への遺族厚生年金の支給期間変更が決まりました。それについて解説と雑感を記載します。出典・参考は厚生労働省のサイト(リンクはこちら)、日本年金機構のサイト(リンクはこちら)
〈遺族厚生年金とは?〉
次の1から5のいずれかの要件を満たしている方が死亡したときに、遺族に遺族厚生年金が支給されます。
- 厚生年金保険の被保険者である間に死亡したとき
- 厚生年金の被保険者期間に初診日がある病気やけがが原因で初診日から5年以内に死亡したとき
- 1級・2級の障害厚生(共済)年金を受けとっている方が死亡したとき
- 老齢厚生年金の受給権者であった方が死亡したとき
- 老齢厚生年金の受給資格を満たした方が死亡したとき
〈支給対象者は?〉
死亡した方に生計を維持されていた以下の遺族のうち、最も優先順位の高い方が受け取ることができます。なお遺族基礎年金を受給できる遺族の方はあわせて受給できます。
- 子のある配偶者
- 子(18歳になった年度の3月31日までにある方、または20歳未満で障害年金の障害等級1級または2級の状態にある方。)(※1)
- 子のない配偶者(※2)
- 父母(※3)
- 孫(18歳になった年度の3月31日までにある方、または20歳未満で障害年金の障害等級1級または2級の状態にある方。)
- 祖父母(※3)
※1 子のある妻または子のある55歳以上の夫が遺族厚生年金を受け取っている間は、子には遺族厚生年金は支給されません。
※2 子のない30歳未満の妻は、5年間のみ受給できます。また、子のない夫は、55歳以上である方に限り受給できますが、受給開始は60歳からとなります(ただし、遺族基礎年金をあわせて受給できる場合に限り、55歳から60歳の間であっても遺族厚生年金を受給できます)。
※3 父母または祖父母は、55歳以上である方に限り受給できますが、受給開始は60歳からとなります。
〈支給期間は?〉
現行制度では、20代から50代で子どもがいない配偶者に対して、年齢に応じて無期限または有期で遺族厚生年金が支給されていました。夫を亡くした場合に、妻は無くなるまで受給権が発生するケースもあるなど、かなり安心感のある制度でした。
〈見直しの方向制および意義は?〉
2024年の制度改正により、遺族厚生年金の支給期間が変更され、特に20代から50代の子どもがいない配偶者に対する支給期間が5年間に限定されることとなりました。この変更は、女性の就業率の増加や共働き世帯の増加など、社会経済状況の変化に対応するためのものです。
つまり、「遺族厚生年金で生計を維持し続けるのではなく、5年の間に基盤を立て直してね」という制度変更と考えられます。
女性の社会進出や共働きの一般化で女性自身が収入を得られるようになったから年金に頼らないでね(もしくは再婚を推奨?) ということかも知れません。以下、厚生労働省が公開している資料(リンクはこちら)です。
〈管理人の考え〉
年金受給開始の65歳デフォルト化、繰下支給の著しい推奨と合わせ、やっぱり年金支払いを少なくする方向で動いているのが感じられますね。遺族年金はそもそも極力利用されない方が幸せな制度ですが、だからこそ配偶者を亡くしてしまった方への金銭的な補完は手厚くあって欲しかったものです。
〈自助・共助・公助〉
自助・共助・公助とは災害時に身を守るために頼る順序を指す言葉ですが、災害だけでなく人生全般にいえることだと思います。公助が弱々しくなっている社会だからこそ、それを嘆いたり、批判するのでは無く自助できるようにコツコツと資産形成していかねばなりませんね。
これからも一緒に資産形成していきましょう!!
最後までご覧いただきありがとうございました。