少し前ですが、ベストセラーになった「変な絵」について、図書館で順番が回ってきましたのでレビュー記事を書きたいと思います。
(作者の雨穴(うけつ)さんに関するwikipediaはこちら)
〈ミステリ小説 変な絵 の概要〉
小説「変な絵」は、読者を独特の世界観に引き込むミステリー作品です。この物語は、複数の短編が巧妙に絡み合い、最終的に一つの大きな謎を解き明かすという構成になっています。各章は一見独立しているように見えますが、読み進めるにつれて、それぞれが大きな物語の一部であることが明らかになります。結末に向けての伏線が随所に散りばめられており、読者はその手がかりをたどりながら謎解きを楽しむことができます。
本書は4つの章で構成されており、各章とも随所に絵や図がちりばめられております。1章読むのに、集中力が続きにくい管理人がゆっくり読んでも30分程度でしたので、1冊ノンストップで読み切るのにも2時間程度れば十分かと思います。勿論、2週目も色々気付きがありとても楽しい作品です。
物語の結末は、予想を裏切る展開が待ち受けており、読者を驚かせること間違いなしです。登場人物たちの運命が交錯し、最後にはすべてのピースが見事にはまり込むことで、謎が解明されます。このような結末は、読後感に大きな満足感を与え、物語全体を振り返るきっかけを提供します。
〈作品の特長〉
謎解きの過程は、読者が自ら推理を重ねることを促します。絵に隠された手がかりや、登場人物の行動から次第に真実が浮かび上がってくるのです。この小説は、ただ答えを提示するのではなく、読者が謎を解く過程を楽しめるように工夫されています。
なお、「ヒントっぽい記述」「絵をよく見たときのヒントっぽい特徴」を見たときに、管理人は「ははーん、そういう展開かな?」と予想して読み進めていきましたが全く的外れでした(笑)。
また、この作品の読みやすさは特筆すべき点です。複雑な謎や多くの登場人物がいるにも関わらず、流れるような文章と明快な章立てにより、読者はスムーズに物語を追うことができます。言葉遣いも丁寧で、幅広い読者層に好まれるできるでしょう。
〈総評〉
総じて、「変な絵」は、ミステリー好きならずとも楽しめる作品です。その構成の巧みさ、結末の意外性、謎解きの楽しさ、そして読みやすさは、多くの読者にとって魅力的な要素であると言えるでしょう。この小説は、ただの時間潰しではなく、読者の想像力を刺激し、思考を巡らせる一冊となっています。
ちなみに、「女性の本能(?)的な執念」とか「男性の異様とも思える固執」とか、物語そのものというマクロ的なドキドキ・恐怖感もありますが、登場人物個人のミクロな心理描写からもゾクッとするような恐怖が感じられました。
〈作者はどんな人?〉
著者は雨穴さんというウェブライターであり、登録者数166万人を誇る超人気ユーチューバーでもあります(YouTubeチャンネルはこちら)。この作品は2022年10月20日に双葉社から出版され、その独特なスケッチミステリーの形式で注目を集めています。
雨穴氏は、「変な家」に続くシリーズ第2弾として「変な絵」を発表し、読者に新たな謎解きの楽しみを提供しています。管理人は現在図書館で予約待ちです(人気すぎてなかなか来ない・・・)。
〈まとめ〉
『変な絵』は、9枚の不可解な絵を軸に展開するミステリー小説です。物語は、ブログに掲載された「風に立つ女性の絵」から始まります。この絵を見た人々は不可解な現象に見舞われ、中には命を落とす者も出てきます。一方で、行方不明の少年が残した「灰色のマンションの絵」や、山中で発見された遺体が遺した「震える線で描かれた山々の絵」など、関連性が見えない絵が登場します。
しかし、これらの絵には恐ろしい真実が隠されており、9枚の絵それぞれが異なる事件を表していることが明らかになります。そして、これらの事件はすべて繋がっておりこの人物は事件のヒントを絵に描き、世に知らしめようとしていました。物語の核心に迫るにつれ、読者は9つの謎を解き明かし、緻密な構成と巧みな伏線によって最後まで飽きさせない展開に引き込まれます。そして、終盤で明らかになる衝撃の真実には、戦慄と感動することでしょう。
描写や状況、情景が分かりにくい部分には適切に解説図も配置されており、一層臨場感を持って没入することができます。終盤にかけてピースが繋がっていく疾走感、爽快感、恐怖感 は圧巻です。読むのに極端な長時間が必要な作品でもありませんので、是非一度読んでいただきたいと思います。
リハビリ中の管理人には、最高の集中力トレーニングと読書実績になりました。続編「変な家」も図書館に届き次第直ぐに読んでレビューしたいと思います。
最後までご覧いただきありがとうございました。ではまた。